JISP提携心理専門家、岡田太陽氏による熊本視察レポートです。
熊本地震のいまの様子をお伝えします。
今回は支援者会議に顔を出して、JISPの活動について紹介すると同時に、事前の現地視察をもとに実際にどのような支援活動ができるのかを計画立案することを目的として一路熊本に向かいました。
熊本地震からはや1年。
熊本音楽復興支援100人委員会で活動されておられる芥川さんと、御船町の民生委員をされている佐藤さんのお2方の協力を経て、御船町内で最も被害が大きかった地域の視察と、4か所の仮設住宅の視察を行わせていただきました。
何かと新聞などで話題になる益城町の陰に隠れて、支援が手薄になりがちな御船町の町民のみなさんの声はやはり「益城ばかり」。御船町の支援を・・・と言うと顔がほころぶ様子がうかがわれました。
被災現場の現状はというと、何だか不思議な光景でした。
畑や庭の木々は残っているのに家だけが倒壊して、場合によっては既に壊されて更地になっている・・・感じで。
人の息吹は感じられるのに、人の営みの形跡がない・・・そういう感じでした。
残っている家にも多くのヒビが入っていたり、瓦が落ちてしまっていたりしていました。ブルーシートで雨漏りを防いでいる家が沢山見られました。
昨年の7月に申請を出したけど工事の着手がやっと今頃まわってきたという話もあり、工事の人でも足りていない印象を受けました。また仮設からは2年で出ろと言われているようで、1年経った今それが住民の心の不安にもなっているようでした。
まだまだ日々の生活の問題が大きい感じで、心の支援はこれからかなーという印象を感じつつも、痛みや不眠を訴える方は結構おられるようでした。「仮設では寝られない。早く家に帰りたいけれども家は住める状態じゃない」とおっしゃられる方もおられました。
今回話を聞いていて1番強く感じたのは、支援者が疲弊していること。東北支援でも感じていたことですので、改めてやはりと言う感じではありました。支援をしている人達もまた被災者です。自身も生活の問題を抱えつつも地域の方々の為にと奔走されておられる支援者の方々が、既に心身ともに限界がきているようで、入院するような病に罹患されておられたり、風邪が治らないとか、眩暈が治らないといったような様々な身体症状を抱えておられる様子がうかがわれました。「家族の為に時間を使いたいのだけど、地域の人達の生活をついつい優先してしまっている。そのため、家族には負担をかけていると思う。家族は理解してくれているけれども・・・」「あちこち動いている方が楽。家に帰って ホッと座ると、考えなくていいことをいっぱい考えてしまう」というような話もうかがいました。
御船町ではないようですが、支援者が自殺したという話もうかがいました。
また、仮設の生活については、コミュニティの問題もあり、同じ地域から集まっている仮設はまだいいが、バラバラの地域から集まっている仮設は本当に大変だと管理されている人がおっしゃっておられました。仮設の代表の方のお話をうかがうと皆口をそろえて、コミュニティの活性化、仮設の住人のつながりを持てるようにしたいとおっしゃっておられました。
東北で聴いた声が、ここ熊本でも。
住人の声に耳を傾けつつ、土地に合った支援ができるように活動をしていきたいと思います。
芥川さん、佐藤さん、大変お世話になりました。
JISPは熊本での心理社会支援を続けています。